ローマとヴェネチアで気づいた「豊かな人生」の問い——2000年の歴史が教えてくれたこと
写真で「知っていた」はずの場所が、全く別のものに見えた
5月末、イタリアへ行ってきました。ローマとヴェネチア、どちらも名前は知っていましたし、写真で見たこともありました。でも、実際にそこへ立ってみると、「あ、全然違う」と思いました。
写真というのは便利なものですが、やはり空気感・温度・石畳の質感・水路から漂う匂い、そういうものは伝えてくれません。現地に立って初めて、景色が「情報」から「体験」に変わった——そんな感覚でした。
今回は現地のガイドの方に案内していただき、100年規模・300〜400年規模・2000年規模と、異なる時代の建物や街並みを丁寧に巡ることができました。一人で歩いていたら素通りしていたであろう路地や建物の背景を教えていただきながら歩くと、同じ「石造りの建物」でも全く見え方が変わってきます。






ローマとヴェネチア——同じ国なのに、空気がまるで違う
ローマは「大きさ」の街だと感じました。コロッセオにしても、フォロ・ロマーノにしても、「これが約2000年前に作られたものか」という規模感に、素直に圧倒されます。歴史の重みが、街全体にどっしりとある感じ。
一方でヴェネチアは、「美しさ」の街でした。水の上に築かれた街並み、細い路地、橋と運河が織りなす景色——スケールよりも繊細さで迫ってくる。「また来たい」と思ったのは、ヴェネチアを離れるときでした。こんなにシンプルにそう思えた旅先は、久しぶりだったかもしれません。
同じイタリアでも、都市によってここまで表情が異なる。それぞれの街が、長い時間をかけて積み上げてきた文化や歴史の違いが、街の雰囲気そのものに出ているのだと感じました。
現地ガイドが語った「人生をいかに豊かにするか」
今回の旅で一番印象に残っているのは、景色もですが、ガイドの方がさらっと言った一言です。
道を歩きながら、観光の説明の合間に、こんな言葉が出てきました。
「いかに自分の人生を豊かにするか、それが一番大切なことです」
特に力を込めて言ったわけでもなく、当たり前のことを言うように、自然に出てきた言葉でした。だからこそ、余計に引っかかりました。
イタリアではバケーション(2〜4週間程度)を取ることが、ごく当たり前の文化として根付いています。「休む」ことが人生の一部として当然視されている。日本にいると、どうしても「休むのは仕事が落ち着いたら」「有給は申し訳なくて…」という感覚が染み付いてしまいがちですが、彼らにとってそれは不思議な価値観に映るのかもしれません。
どちらが正しいという話ではありません。ただ、「働くこと」と「生きること」の関係を、改めて問い直す機会になりました。







「豊かな人生」は、経営にも直結するテーマ
経営者として、「働く意味・休む意味」をスタッフにどう伝えるか、どう実践できる環境を作るかは、常に頭にあるテーマです。
弊社も少しずつ人数が増え、それぞれのスタッフが仕事と生活の両方で充実できる会社でありたいという思いは変わりません。でも正直なところ、まだまだ道半ばです。
イタリアの街並みが「長い時間をかけて価値を積み上げてきた」ように、会社も人も、一朝一夕には変わらない。でも、向かう方向さえ定まっていれば、少しずつ近づいていける——そんなことを、歴史の建物に囲まれながら考えていました。
現地に行くことでしか得られないもの
今回の旅を通じて改めて感じたのは、「現地に行く」ことの価値です。写真や動画で見るのと、実際にその場に立つのとでは、受け取れる情報量も、心の動き方も、全然違います。
そしてガイドの方など現地の人と話すことで、その国が何を大切にしているかが、言葉の端々から伝わってきます。観光スポットを巡るだけでは得られない、その場所の「哲学」みたいなものが見えてくる。
国内外を問わず、こうした体験を意図的に重ねていくことが、自分自身の視野を広げ、事業や組織づくりにも良い影響を与えると感じています。次の機会にはぜひ、スタッフも一緒に連れて行ける旅ができればと思っています。まずは自分が見て感じたことを、少しずつ言葉にして伝えていくところから始めたいと思います。