商品を売るのではなく、「商品のある生活」を提案する販売方法へ
大分のホームページ制作会社 L-planningの筒井です。
先週末の事ですが、東京で開催された「EC-cube day2014」に参加してきました。
そちらの件は後日書くとして、
今回は以前ご紹介したお店「リグナテラス東京」に出張の合間に行ってきました。
もともとネットで大型家具を売る専門だった企業ですが、7月のプレオープン以降
全国からの集客に成功しています。
「もう、ネットだけやっててもダメ」「冷やかし客」が来ない店としても有名なお店です。
店舗は、
1階は、モダンな家具が多く、若い方向けかな?という印象
2階は、落ち着いたラインアップで、濃い色味の家具が中心
3階は、北欧テイストの家具が中心
となっていました。
もともとネットショップでも成功していた同社ですが、なぜいまさら店舗を?と
思ったのが、私が興味をもったキッカケです。
(店舗→ネットへの進出はよくあるパターンですね)
通常の小売店とは違い、ネットとの連動など、どのような仕掛けがあるのか気になり
訪問してみました。
訪問前に同社のホームページを確認した際に印象的だったのが、
各階のフロアごとに扱っている商品が、わかりやすく掲載されていることでした。
「あの商品いいな〜」と思った際、家具の名前は覚えていなくても、
◯階にあったよな?という風に思い出す際、とても便利だとあらためて思いました。
(ホームページなどにはよくカテゴリ分類された見せ方や検索で探す方法が主流と
なっていますが、家に帰って、あの商品良かったなと思っても、その際には
名前を思い出せないことがよくあるので・・・)
人の行動にあわせた設計になっているのが特徴ですね。
また、各商品にはプライスカードの下に、専用の番号が記載されています。
こちらも同社のホームページ内で番号を検索すると商品を探せる仕組みと
なっており、シンプルですが便利な仕掛けでした。
商品説明とは別に手書きのPOPなども見受けられ、スタッフのコメントなど
見ていて楽しくなる仕掛けも豊富でした。
展示されている家具は、各ブロックごとにテーマが有り、
「空間をそのまま買って帰りたい」と思わせる演出が特徴的でした。
「そうそう、こんな部屋に住みたかったんだよね!」と思わせるキッカケになります。
ネット通販の単品商品写真では味わえない感覚です。
もちろん空間づくりを行い、写真でPRしているサイトも多く見受けられますが、
ネットは五感のうちでも「視覚」にしか訴えることができません。
その場の雰囲気、触れた感触、など五感を刺激するにはやはり空間そのものを
体験していただくことが重要だなと改めて気付かされます。
家具を売るのではなく、「家具のある生活」を同社は売っているのだなと思います。
似たような店舗事例としては「IKEA」
ネットショップへの誘導という部分に関してはそもそも発想が違いますが、
店舗演出は非常に似た部分があるなと感じます。
IKEAはその地域特有の部屋のつくりやサイズなどを調査した上で、空間の演出を
行っていますが、やはり家具を売るのではなく、生活空間そのものを
売っているという印象があります。
店頭に入ると、バッグとえんぴつとメジャーが用意されていて、かつ2階にエスカレータを
使わないとショールームが見えない仕掛け。
「買い物をしたい!」というスイッチを入れてくれる仕掛けが入口から用意されていますね。
まるでテーマパークに入るようなワクワク感と期待感を煽るような演出が素晴らしいと思います。
ひと通り見終えた後は、巨大な倉庫から商品を探しださなければなりません。
「探すという行為や体験」も演出の一部に入っているのかなと思います。
最近は「商品に対する信頼・愛着・満足度があっても売れない」という結果が
多く出てきています。
インターネットを開けば大半のものが手に入る、物が溢れかえっている時代です。
物が溢れる前の時代は、「物欲の時代」と呼ばれたりしますが、
現在は「買い物欲の時代」だと言われます。
消費者の欲求が重心移動を起こした現代は物の飽和が原因で
「いい買い物をしたい」という欲求が増加しているからなんですね。
そういう意味では、今回訪問した「リグナテラス東京」や「IKEA」のように
商品ではなく、生活空間をプロデュースできる企業が今後は増加するのでは?と思っています。
ネットショップだけではなく、店舗経営をされている方は、ぜひ参考にされてみてください。