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名前のない商品を通して改めて考えたファンにするために必要なこと

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「色の名前が書いていない絵の具」が話題になっています。

普通の絵の具には「赤」「水色」「肌色」など色の名前がチューブには書いてありますが、話題の商品は言葉は一切なく、使われている三原色(シアン・マゼンタ・イエロー)の配合が水玉で描かれているだけ。

この商品は「キャンパス 水彩絵の具 なまえのないえのぐ」。文具メーカーコクヨの「コクヨデザインアワード2012」のグランプリを受賞し、商品化されたコクヨ初めての絵の具だそうです。

作者のインタビューによると

・この絵の具のコンセプトは、付けられた名前を鵜呑みにするのではなく、3色を混ぜ合わせることで、無限に色がつくれる、自分だけの色がつくれる、というものです。
・子どもたちが自分で考え、発見していくことを促すツール

と、色への固定概念をなくし想像力を育みたいという強い思いを感じます。
(インタビューはこちら→http://www.kokuyo.co.jp/award/archive/goods/namae_report.html

たしかにこのコンセプトを聞いた後この絵の具を渡されたら「納得のいく色を作ってみよう」と思いますし、普通なら「木だから緑と茶色だな」となりがちですが、しっかり被写体を見て色を吟味して塗ってみるでしょう。
「ここはこういう色の変化をしているな」「この色はどうやったら作れるんだろう」という心の動きは、絵を描く楽しさの本質というか醍醐味みたいなものなんじゃないかと僕は思います。

色の固定概念をなくすことが「新しい発見」や「いい色を作ること」という絵の楽しさを体験することにつながり、その楽しさに触れたユーザーはきっと「絵を描くこと」のファンになりますよね。(この商品自体は絵描きを増やす目的で作られた訳ではないですが)

この商品について色々考えているとき、子どもたちへの将棋の普及のために女流棋士が考えた「どうぶつしょうぎ」を思い出しました。

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マスと駒の数が少なく、王様はライオン、飛車はキリン、角行はゾウ、歩はヒヨコと動物に置き換えられて子供にも親しみやすくなった「ミニ将棋」です。
将棋では成り駒といって、歩が敵陣に入ると「と金」に変わるのですが、このどうぶつしょうぎではヒヨコがニワトリに変身するという子供心をぐっとつかむニクい演出も。

将棋を知らない子どもたちはこのどうぶつしょうぎを通して「どうすれば相手の駒を取れるか考える事」「駒が変身して強くなる楽しさ」という将棋の楽しさの本質の部分を体験でき、実際に将棋の普及に貢献しています。

新しいファンを作るためには楽しさ・嬉しさの本質の部分を体験してもらうことが必要ですよね。
商品サンプルやお試しセット、体験サービス、パンフレットなどを作る際にも、「この商品の醍醐味を体験してもらえるか」「商品を使った時・サービスを受けた時の喜びを味わわせることができているか」と、もう一度考えたいなと改めて考えされられました。