何やっても売れない商品と対峙したら、どうするか?
何やっても売れない商品と対峙したら、どうするか?
売れない商品というのは、そもそもお客様にニーズが無いのだから、売れなくて仕方がないんだよ。
とキッパリ諦めがつけば良いんだけど、どこか愛おしいというか、使ってもらうと良さはわかるんだけど・・・メーカーや職人さんは、粗悪なもの作っているわけじゃないのだけれど、でも・・・さっぱり売れない。
そんな時に、よく言われる体のいい大人都合、いやビジネス都合?のセリフは、
「成熟した商品で差別化が難しいよ。」
「ここが不便じゃない?改善しなきゃ売れないよ。」
その言葉をぐっと飲みこみながら、姿を消しさられていく商品は多いと思う。
そのような売れない商品・サービスに対峙した時に、勇気をくれる1冊がこれ。
「通販生活」を発行するカタログハウス社の社長 斉藤駿氏の著書
今では、ヒットを飛ばしているが商品でも、過去に売れない時代があった。
その商品たちが売れるようになるまでの軌跡・体験をご自身の言葉で綴られています。
こうすれば、すぐ売れるようになる!といったテクニック本ではないけれど、
売れるようになるまでの考え方や時代背景の捉え方など、「商品を売るための向き合い方」が学べる一冊だと思います。
もし書店でこの記事を思い出したら、立ち読みで、ここだけを読んで欲しい!(ぜひ買ってもらいたいけど)
デロンギヒーターのロングセラー商品にさせた話(P115あたり)
デロンギヒーターは、今では通販生活の売れ筋5位にランクインしてくる大ヒット商品ですが、
販売当初は、さっぱり売れなかったそう。百貨店でもさっぱり売れない不人気商品。
というのも、このヒーターは「温風をださないで温める」のが特徴。
ヨーロッパでは、主暖房で部屋が暖まったところで補助暖房に切り替えて室内を維持する。温風を出さない、空気も汚れにくいところからヨーロッパでは、かなり普及していたそうですが、日本では補助暖房という発想になじみがなく、売れていなかった。
そんなあるときに・・・著者曰く(本からの引用)
『通信販売の神様が「補助暖房では売れないよ。いっそ主暖房として売ってみたら」と私にヒントを贈ってくれたのです』
そこで、通販生活で
「寝室においておくと、ひと晩中ホテルに泊まっているような快適さ。」
というキャッチコピーと寝室においている写真で訴求したら、めちゃくちゃ売れはじめたんですね。
「使用価値を自分の頭で考えてごらん。」(本からの引用)
デロンギヒーターを居間用の主暖房機と捉えると、温風を出さないから暖かくならないヒーター、つまり物足りないヒーターになってしまう。
補助暖房機と位置付けると主暖房のエアコンといちいち使い回分けるのは面倒くさいとか、エアコンを切ってこちらに切り替えた後どのくらい居間の温度が維持できるのかといった不安が残ってしまう。ところがこれを寝室用の主暖房として使えば、「あまり暖かくならない」はひと晩中穏やかな暖かさで眠れる」になり、「温風を出さない」は「寝ていても喉が痛くならない」になるのだった。
寝室用としての使用価値を説明することで、わかりにくい商品がとたんにわかりやすい商品に変わるのだった。
この体験から、使用価値は小売が決めてよい。という覚悟を得たそうです。
確かに、売れない商品・サービスには、マイナス点によく目が行きがち。
でも、そのマイナスが活きる使用価値(利用用途と言ったほうがしっくりくるかな)を売りて側が見つけて定義してあげると、売れるようになるわけですね。
朝専用コーヒー「モーニングショット」や缶つまなども、成熟した商品。
でも使用価値を売りてが決めて売り始めたら大ヒットしたわけなんです。
商品・サービスの改良・開発で差別化できればよいけれども、売り方でも差別化ができるだよ。
ということを氏から学べる1冊です。
さらに、売る側の姿勢・信頼づくりというもう少し高い視点でも触れているのもGOODでした!